きっと、加奈の彼氏が迎えに来たのだろう。
しばらく入り口を見ていると、黒色の高級車が横切った。
その車の中には楽しそうな表情をしている加奈と、男の姿があった。


やっぱり、俺は利用される人間なんだね。


『うざ…』


先日抱いてやったのに。彼氏が出来たらもう必要ないですか。
要らないですか。

正直、鬱陶しいですよ?


俺は17階のボタンを強く押し、エレベーターにもたれかかった。

今日はなにかとショックなことが多すぎる。

ため息ひとつ零すと、たたまちエレベーターに広がり、埋め尽くす。

髪の毛の先から雫がぽたぽたと数滴落ちていく。
俺は17階に着くまで、それらを悲しく見ていた。

そして部屋に着くとすぐに濡れた制服等を洗濯機の中に投げ込み、スエット姿になった。

スエット一枚じゃ肌寒くて…でも心はもっと寒くて…


誰か温めてください…