俺なんかより全然。
俺と梨花より、初々しいカップルだよ、あの二人は。
俺がマンションに着いた頃には、青のカッターシャツは完全に濡れていた。
水玉の模様などもうなかった。
エレベーターが下りてくるまで、俺は少しだけ待つ。
雨の天気は晴れの天気より、ぐんと気温が下がる。
そのせいか、俺の体は小刻みに震えていた。
梨花に風邪引いたと言った嘘は、本当になりそうだった。
そしてエレベーターが開き、乗ろうとした時、中にいた人に引き止められた。
『怜!どうしたの?びしょ濡れじゃん!!』
こう心配した口調で言ってきたのは、俺に抱かれてすぐ帰ってしまう加奈だった。
ピンクの可愛らしい服と、白のミニスカートに身を包んでいた。
まるで清楚のお嬢様を気取るかのようだ。
『ちょっとね…』
俺は苦笑いをし、傘を後ろに隠した。