どうして痛いのでしょうか?
梨花には決してならない痛さが今、なぜ起こっているのでしょうか?


雨が容赦なく、俺に降り注ぐ。
たちまち青のカッターシャツに丸い水玉のような模様がつき、髪の毛からは冷たい雫が流れ落ちてくる。
雨は涙なんかより、しょっぱくなくて、でも、涙より汚い。
そんな気がする。


俺は下を向いて、家に向かう。
傘を開けたままの状態にし、引きずりながら持っていく。
他人からみたら変な光景だ。
傘があるのに何故ささないのだろう?と不思議に思うに違いない。
さしたいけれど、そんな力ないんだ。


さっきの光景が頭の中にリアルに残っている。
綾音のあんな輝いている笑顔を見てしまったら、もう諦めた方がいいだろ?
綾音は竜也を選んだんだ。
間違ってないよ。
竜也はいいやつだし、
嘘なんかつかないし…
罪など犯さないし…


俺なんかより全然いい。