考えたいんだ、
一人になって、考えたいことがあるから…
『来なくていいから…一人になりたいし。じゃ、また連絡する』
梨花の元気しぎる声を聞いていると、涙が勝手に込み上げてくるから…
俺は電話を一方的に切って、ポケットの中にしまい込んだ。
奥深くまで。
もう二度鳴らないように。
竜也たちの方に戻り、『帰る』とだけ伝えて、雨の中、時計台から去って行った。
遠くの方から、竜也の笑い声が聞こえてくる。
綾音もきっと笑っているのだろう。
声は出さずに、またあの笑顔を見せているのだろう。
俺は唇を噛み締めて、下を向いて家路を急ぐ。
雨が行きより強く降るのは、俺の分まで泣いてくれているからだろう。
ありがとうな、俺…なんでこんなんなのかな…
『いてぇ…よ…』
傘を持つ手が徐々に下がっていく。
雨が俺の肌に弾いていく。
…この痛すぎる心は…
なぜですか──…?