気分的には会いたくない。だって、ショックなことがあったから…
俺はちらりと竜也たちの方に体を向けた。
竜也と綾音は楽しそうに会話をしているようだ。そんな光景が羨ましく、でも胸が痛い。
竜也にあの笑顔を向ける綾音を見ると、苦しくなる。
俺だけを見て欲しいのに…
キミはもう俺を見てくれない─…
しばらく綾音を見つめていると、綾音が俺の視線に気づき、俺を見た。
そして小さく微笑み、また竜也に視線を変える。
あぁ、やっぱりキミは竜也が好きなんだ、と行動を見ていればわかる。
『怜ー?聞いてるのぉ?』
『あ…ごめん、ごめん。…今日は会えないな。なんか風邪引いたみたいでさ』
こう言って、俺は二、三回鼻をすすった。
また、苦手な嘘をつく。
『えー?そうなのぉ?あ!お見舞い行ってあげるよ!!』
…え…なんでそうなんの?
俺は会いたくない。
俺を一人にして─…