ねぇ、ねぇ?先生?
俺の存在は無視デスカ?


先生の態度を見て、俺はついつい笑ってしまった。
カバンの中から携帯を取り出すと、また黄色いランプが光っていた。
『今度は誰?』と思いメールを見る。



《今日もお願いできる? 恭子》



恭子……あぁ、保健の先生ね。


《授業が終わったら行くよ》



行くよ、と約束している自分。
やめたい関係を、俺は続かせてるバカな人間だ。

メールを送り終わり、俺は生物の授業なんて聞かずに、ずっと外を眺めていた。
グラウンドには、楽しそうにサッカーをやる少年達がいた。


あなたたちは今幸せ?

こんな質問をしたくなる。


もし誰かにこんなことを聞かれたら俺の答えは決まっている。



《俺は不幸せです》


だって…綾音からのメールは、返ってこないし…

だって、俺はうまく利用される人間ですから。