リビング全体に、カーテンの隙間から飛び出した太陽の光が照らされていた。
なぜかキラキラとリビングが眩しく感じる。


綾音は、まだかな…


ふと視線を下に落とすと、ソファーの前に置いてある透明のテーブルに体を伏せて眠っている、綾音の姿があった。

綾音は制服のままだ。
綾音の近くに、綾音が作ったであろう、料理がラップに包まれて置いてあった。


『綾音…』


俺より先に帰ってきていた。
しかも料理まで作って俺の帰りを待っていてくれてたんだ…


胸が締め付けられる。
俺は罪を犯して、馬鹿なことをしていたのに…
綾音は─…優しすぎる。

カバンをドサッと下に落として、ゆっくりと綾音に近づいた。


どうか、起きないで─…

まるで白雪姫のよう。
王子様のキスでお姫様は目覚めるが、俺はそんなのを望んではいない。

起きないで─…
お願いだから…


俺はそっと綾音の頬にキスをしたんだ…


ごめんね…綾音─…


ごめんね…