『ねぇ怜?本当にあたしの家行くのぉ?』
眉間に皺を寄せて未だ俺の発言を信じていない女が一人いた。
『行っちゃだめ?』
こう甘えるとこの女、いわゆる梨花はすぐに落ちる。
『え…怜がいうならいいよ…』
茹でタコのような真っ赤な顔をして梨花は言う。俺はそんな梨花の耳元で『ありがと』と囁いた。
俺達の進む道の先には、梨花の家があった。
何度来ても圧倒されるくらい大きい家だ。
玄関で靴を脱いでいるときに、愛犬のショコラが尻尾を振って駆け寄ってきた。
今日は可愛らしい洋服を着ている。
『久しぶりショコラ』
ショコラを抱きかかえると、ショコラは俺の唇を必死に舐めてくる。
『ちょっと!ショコラ!怜にキスしていいのはあたしだけ!!』
肝心なご主人様はショコラに嫉妬をしている。
俺はあの綾音の顔が脳裏から離れないでいた。