完全に自分が進むべき道を見失ってしまった。
今日、罪の意識をしたばかりなのに、また罪を増やす。
自らの手で。
だけど梨花は俺の犯してきた罪など知るはずもなく、尻尾を揺らして喜んでいるようだ。
『そ、そっか…楽しんでこいよ…』
竜也は引き笑いをして、手を上げた。
『お前もな。じゃあな』
俺は梨花の手を強く握り、竜也と綾音を横切って行った。
その時、また綾音と目が合った。
綾音の瞳が変わらず、寂しそうな、悲しそうな瞳をしていて、何か言いたそうだった。
でも俺はすぐに視線を逸らして、目の前に続く道を真っ直ぐと見た。
ごめん、ごめんね。
もう心は粉々になっちゃったから、直すことは出来ないんだ…
後ろの方では、竜也の笑い声が聞こえてくる。
きっと綾音も笑っているのだろう。
サヨナラ、本当の俺。
おかえり、偽物の俺。