時々綾音は寂しげな瞳を浮かべる。
俺と目が合うときは大抵そうだ。
なぜだろう。
綾音は俺を見るといつも悲しそうな顔をする。


綾音と目が合ったときは、まるで時が止まったようになる。
綾音の瞳に吸い込まれそうになってしまう。


俺はしばらく見つめ合って、視線を綾音からずらした。
もしこのまま見つめ合っていたら、歯止めがきかなくなりそうだから。


『お前ら今からどこいくの?』


竜也は俺と梨花を交互に見ながら、こう言ってきた。
この時、俺は本当の自分を見失っていた。

綾音に気持ちが届かないと思っていたから、もうどうでもよくなっていたんだ…


『え…怜?今からどこいく?決めてないよね?』


『今から梨花ん家行くんだ』



自分を見失ったような発言を俺は口に出して言った。
それを聞いた竜也と梨花は、驚いた表情を見せてきた。


俺、もうだめみたいだ。