本当は心はすでに粉々だったのに、平気を装って綾音たちのいる時計台に歩いて行った。
見つめ合って楽しそうにしている綾音と竜也。
そんな二人を阻止したくて、だんだんと足早になっていく。
『ちょ…怜?!』
後ろでは戸惑いを隠せないでいる梨花がいた。
梨花の呼びかけで俺はハッと目が覚める。
なにしようとしてるんだよ…
でも、この時にはもうすでに遅かった。
俺は立ち止まり、下を向いて考え事をしていると、再び俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
この声は梨花ではない。竜也の声だ。
『怜じゃん!それと安田も!』
…どくん。心臓が急に動きだす。
『なんか付け足しみたいに言わないでよー!!』
隣では竜也の発言に対して拗ねている梨花がいた。
動くことさえ出来ない俺。
ゆっくりと顔を上げると、悲しい瞳を浮かべた綾音がいた…