胸が苦しいよ、
またこんな想いしなきゃいけないの…


心の中の俺が必死になって叫んでいる。
その叫び声が漏れないように、飲み込んだ。


遠くにいる綾音と竜也。竜也は笑顔で、綾音も笑顔。
だけど俺は、悲しい顔。

唇を噛み締めて、俺はその笑顔の二人をずっと見つめていた。
暑さで頭がおかしくなったようだ。
俺の心が崩れていく。


『あの二人仲良いよね!』


梨花の言葉が最後の最後で突き刺す。
ぐさりとその言葉は俺の胸に刺さっていて、抜けないでいた。


見たくないよ、もう。
うんざりだ。この世界に、こんな自分に。
臆病者の俺に、いつサヨナラ出来るだろうか?


『怜?どうしたの?』


すると梨花が俺の変化に気付いたのか、顔を覗き込んできた。


『別に…なんにもだよ…早く行こ…』


俺は上手くはぐらかして、梨花の手を引っ張り、時計台の方へと歩いて行った。