自分の耳を疑った。
竜也の言葉が理解出来なくて、意味が分からなかった。
『は…?』
周りの雑音のせいにして、俺はもう一度竜也に聞いた。
竜也は目を輝かせ、白い歯を見せて笑った。
この笑顔が今の俺にとって、すごく嫌なものだ。
『昨日あやちゃんとキスしたんだ!ちょっと無理矢理って感じしたけど』
『昨日…?キス?』
竜也はピースを作って、スキップしながら校門をぐぐって行った。
俺はその場に立ち尽くすだけ。
どくん、どくん…
なんだよ…この心臓の音は。
胸に手を当て、その音を肌で感じる。
うるさいくらい心臓は唸っていて…
綾音の笑顔が俺の頭の中を駆け巡る…
綾音と竜也がキス?
考えたくもない。
考えるだけでイライラする。
綾音は竜也とキスしたとき、どんな表情を見せたのだろうか?