俺はてっきり綾音は竜也に言ったのだろうと思っていたが、竜也はなにも俺に言って来なかった。
かといって、俺から竜也に言うことはなかった。そういう事は彼女である、綾音から聞いた方がいいと思っていたから。
俺は下を向いたまま、道を歩いていく。
空を見上げると、太陽にやられそうで、見上げることなど出来なかった。
学校に近づくにつれ、同じ制服を着た生徒たちが沢山見え始める。
『れーい!おはよ!』
『あ?』
すると後ろから俺の背中を思い切り叩き、鬱陶しいくらい眩しい笑顔を向けた竜也が現れた。
『そんな怖い顔すんなよ!ていうか!!聞け!!』
『なんだよ?つまんねぇ内容じゃねぇよな?』
俺は肩に手を回してきた竜也の手を離し、竜也を睨みつけた。
朝からそのテンションにはついていけねぇよ。
『昨日やっと!!あやちゃんとキスできました!』
竜也から飛び出した言葉は、つまらない内容ではなく、俺を沈ませる内容だった─…