鏡は不思議だ。
だって、自分の今の表情や心情が表れるから。
表れて欲しくなんかないのに、勝手に表れて、だけどそれは間違ってなんかいない。
本当の自分なのだから。
髪がセットし終え、俺も学校に向かった。
綾音の学校はこのマンションから少し遠いが俺は遠くはない。
だからいつも俺は綾音より後に出る。
鍵を閉め、マンションから出て行った。
外はとても暑く、日陰を探してはその中を歩くのを繰り返している。
『あーだる…』
こんな暑いとなると、何もかもがやる気が出ない。だけど行くしかない。
綾音と生活をし始めて、俺は何かが変わった気がする。
学校には遅刻しないようになったし、夜遊びはしないし。
これっていい事なのかな?
『なにすんのかな、今日』
気になることはさっきから同じこと。
竜也と綾音のことばかり。
竜也は俺と綾音が義理の兄妹になったことは知らないようだ。