スポンジに洗剤をつけてよく泡立たせる。
するとたちまちスポンジが泡まるけになる。
そして皿を綺麗に洗っていく。
俺に少し遅れて、綾音が食べ終わり、食器を持ってきた。
『あと俺やっとくから、綾音学校に行けよ。遅れるからさ』
笑顔で言うと、綾音も笑顔を見せてくれる。
それが嬉しいんだ。
綾音はカバンを部屋から取ってきて、俺に手を振って『行ってきます』と口を動かして、マンションから出て行った。
『行ってらっしゃい』
俺の切ない声が部屋中に広がっていく。
俺は白い泡を眺めながら、綾音の笑顔を思い出していた。
なにも出来ない自分が悔しい。
この部屋にはまだ綾音の余韻が残っている。
食器を荒い終え、俺も制服に着替える。
制服に着替え終わり、ワックスを使い、髪を整える。
『今日も竜也とデート…か…』
鏡に映る自分の姿がとても寂しげだった─…