この道は両側に桜が植えられていて、春になると桜が満開に咲き、有名な場所となっている。
だけど今の季節はもう桜が散ってしまって、綺麗ではない。


そんな中で、梨花は頬を桜のようなピンク色に染め、俺にこう言った。


『ヤキモチなんか妬くんじゃねぇよ』


俺はくしゃっと梨花の髪の毛を触り、いじめた。梨花は必死に俺の攻撃をやめようとするが、俺は何度も梨花をいじめる。

『もう!!バカ怜!!』


『口答え?家入れさせないよ?』


『やだー!』


俺はこの時、綾音の言葉を無理矢理消そうとして、笑っていたのかもしれない。
でも忘れることは出来ないんだ。


マンションに近づくと、入り口に誰かが立っていた。
顔までは分からないが、すらっと背が高く、柔らかそうな茶色の髪の毛。スーツに身を包んでいた。


一歩、一歩。
俺は近づく…



幻覚だと思った。




『は…なんで…』