『怜、今から怜の家行っていい?』


『え?う~ん…』


断るべきか?
断らないべきか?


俺は短時間の間に考えた。頭の中によぎる言葉。《幸せになってね》
綾音が言った言葉…

綾音がこう言ったのは、きっと本心だ。
綾音は竜也が好きなんだ…
俺はもうなにも出来ない。


『いいよ、来いよ。梨花』


梨花ににっこりと笑顔を見せる。
梨花はまだ俺の笑顔に慣れてはいないらしい。
だってすぐに頬を真っ赤に染まらすから。
暗くてもよく分かる。


俺は梨花をつれてマンションへと向かった。
俺のマンションは無駄に明るいせいか、マンションに近づくたび、暗くなくなってくる。


だから人影など分かるんだ。
それが時にはいいことであって、だけど時には悪いことでもある─…


『今日、あたしね?ヤキモチ妬いちゃったんだぁ…』


マンションに続く一本道を歩いていたら梨花は照れながら言った。