会計を済ませ、店から出て行った。
外は完全に夜で、春でもない夏でもないこの季節は、夜になると少しだけ冷える。
長袖のカッターシャツだけでは肌寒い気がする。

『俺、あやちゃん送ってくわ』


『あ、うん』


俺はこの時違和感を感じた。
なんだろ、この引っかかるものは…


竜也と綾音は電灯があまりない歩道を仲良く隣に並んで歩いて行った。


俺はそんな二人を後ろから見ることしか出来ない。
二人の姿が見えなくなるまで、俺はずっと見つめていた。


『帰ろ!怜』


『うん…』


俺はゆっくりと梨花の方に振り返り、梨花が差し出した左手に、自分の右手を差し出した。
繋がられる二人の手。

ちっとも温かくない。
俺の心が冷めてしまったからだ。
全然心地よくない…


暗闇の中、元気な声で話す梨花。
俺はそれに合わせて話をする。