泣きたいけれど、あの映画の女優のように、すんなりとは涙は出ない。


俺の変わりに泣いてくれるように、グラスについていた水滴が下へと流れ落ちた。


『また遊ぼうな!この4人で!』


竜也が突然言い出した言葉は、俺を疑わすような言葉だった。
隣の梨花は『いいね!』と言って賛成している。

ちらっと綾音を見ると、綾音も大きく頷いていた。
俺は嫌だよ。
もうこんな想いしたくない。疲れるだけだ。

だけどそんなことを言えるはずもなく、小さく頷いてしまった自分がいた。


『じゃあ帰るか!』


『梨花、お前の分俺が払うよ。ポップコーン食べちゃったし』


俺は財布を出す梨花の手を止めた。
梨花は照れくさそうな笑顔を見せて、俺にお礼を言う。


『あ…ありがと。なんか今日優しいね?怜』


『俺はいつも優しいよ?』


いつもじゃないよ。
俺はある人だけには優しいんだ。