一番聞きたくない言葉だった。
一番切ない言葉だった。俺の中が崩れ始める。
きっと今、俺の表情は固まっているだろう。
そして悲しい顔に表情を変えるのだろう。

だけど俺の強がりがそうはさせてはくれなかった。

綾音に振り絞る声で、こう言ったんだ。

強がりを…
偽りの祝福の言葉を…



『綾音も…幸せにな』


弱々しい言葉たち。
綾音を安心させるように歯を見せて笑う俺。



《うん。ありがとう》



初めてこんな寂しい《ありがとう》と言われた。

綾音は携帯をしまい、残りのエビドリアを食べていた。
もうエビドリアは冷めていたのか、息では冷ましていなかった。


冷めてしまったエビドリアは、まるで俺の心を映し出しているようだ。
俺の心も、誰にも温められないまま、傷を負ったままなのだろう。



俺の中はずっと…
綾音の言葉たちが、支配していた─…


切ない言葉たちが─…