時計台の下では、キミの姿があった。
携帯をいじりながら、彼氏、竜也を待つ綾音の姿が…


遠くからでも分かる。
ほんのりと可愛らしいメイクをしている綾音の顔が。


『今日も可愛いね』って言いたいよ。



『あやちゃん!』


俺の心情を引き裂くように、竜也が元気な声を出して、綾音の方に向かって行った。


『あれが竜也の彼女?』

『あぁ…』


俺はやっぱり慣れていないせいか、二人から視線をずらした。
胸が苦しいから…


『なんか、意外だね。竜也あんな子がタイプだったんだ?もっと派手な子が好きかと思ってた…』


ちょっと黙っていてくれないか?
綾音はいい子だ。
お前にそんなこと言われたら腹が立つ。
まして綾音を、そんなふうに言うな。


唇を噛み締め、落ち着かせる。


『怜!』



竜也が俺の名を呼び、手招きをする。