だめだと分かっているのに、やめれない自分がいる。


スヤスヤとソファーで寝ている加奈を見た。
そして耳元でこう囁いた。


『ごめん…』



ごめんな、
俺…お前を愛していない。


──…長い夜は明け、目を開けると、俺は寝室にいた。


下着姿のまま、ただ無駄に広い黒のベッドの上で寝ていた。


眉間に皺を寄せ、起き上がる。
外はもう朝になっていた。


リビングにいくと、乱れたソファーに、加奈の姿はなかった。


透明なテーブルの上に紙切れが一枚。


俺はその紙切れを手に取る。



《昨日は最高だったよ。また連絡するね。加奈》


こう紙切れには書かれていた。
俺はその紙切れを握り潰し、ゴミ箱へと投げた。


『あっそ…』



そして鼻で笑い、加奈の匂いがついた体を洗い流した。


《最高》
そんな言葉なんかいらねぇよ。