カラオケなんて無理に決まっている。
梨花は綾音をまだ見たことないから、そんなこと言えるんだ。
綾音は、声を失った少女だから…


『れ、怜…?』


梨花は俺の顔を覗き込んで頬を軽く触った。


『あ…別に?俺、歌下手だし?』


『えー!あたし怜の歌声聞きたかったなぁ!』


梨花はそっぽを向いていじけてしまった。
俺はそんな梨花を見て、ついつい笑ってしまった。
だが、竜也は笑うことなく、静かに俺を見つめていたとは、知らなかった。


休み時間が終わり、梨花は自分の教室に戻って行った。
結局、遊ぶ場所は決まらず、綾音と合流したときに決めることになった。

するとポケットの中にあった携帯が激しく震えだした。
俺はその振動が嫌だったため、ポケットから携帯を取り出した。
どうやらメールが来たらしい。

俺はメールを見る。
メールを送って来たやつは、竜也だった。