なんとか古典の授業は切り抜けた。
休み時間になったと同時に、梨花がドアから顔を覗かせた。
悲しい顔を浮かべて、俺を探していた。


『梨花?』


俺はこう言って、梨花に手招きをした。
梨花は悲しい顔から嬉しい顔へと変化させ、小走りで俺の元へと駆け寄ってきた。


『怜…怒ってる?』


そういえば保健室に行く時、梨花に対して冷たい態度をみせていたっけ…

『怒ってないよ、ごめんね?』


『よかった!』


梨花は俺の膝の上に乗って、手を握ってきた。
俺は梨花の腰に手を回し、梨花に密着をする。

やっぱり人肌は恋しいんだな。


『安田、今日どこいく?』


『どうしよっかぁ…カラオケとか?』


梨花がいきなり提案した言葉を聞いた瞬間、俺は目を見開いて、『だめ』と言ってしまった。

そんな俺に驚きを隠せないでいる、竜也と梨花。

だって…綾音は─…