俺は手でキスの跡を擦り、消した。
先生の香水の匂いがまだ俺についている。
『はぁ…』とため息をつき、鏡で髪型をチェックして、教室に戻った。


あ、そうだった。
俺怒ってたんだっけ?
自分の心情さえ忘れてしまっていた。

思い出される。
学校が終わったあとの、予定を─…


教室に向かっている途中、校内にチャイムが響き渡った。
俺はその音を聞いても焦ったりはしない。
どうせ先生から見放されてるからさ。


ゆっくりとした足取りで教室に向かう。
教室には担任の先生がすでにいて、今日の連絡を言っている。


『城谷、もう少し早く来い』


俺は先生の話に無視をし、自分の席に着いた。
今日の朝、コンビニで買ってきたコーヒー牛乳にストローをさし、一口飲む。


『ぬるっ!』


これがコーヒー牛乳を一口飲んだときの感想。


『やっぱコーヒー牛乳なんか選ばなきゃよかった』と後悔をした。