『なに?』


俺は梨花の方に顔を傾ける。


『遊べばいいじゃん!』


なにを言い出すかと思ったら…意味分かんないよ?
誰と遊ぶんだよ?


『誰と?』


次の瞬間、俺は梨花の発言を聞いて驚くこととなる。
梨花はなにがしたいの?俺をどうしたいの?


『竜也と竜也の彼女と、私たちでさ!ダブルデートみたいに!』


梨花はピースサインを作って、俺に笑顔を向けてきた。
俺は目を見開いて、小さな声で『え?』と言った。
その言葉は梨花に聞こえていなかったようで、梨花は未だにピースサインを作って、俺を見つめてくる。


そんなの、嫌だよ?
綾音に梨花の存在を知られたくないし、竜也と楽しそうに話す綾音の姿なんか見たくない。


もっとマシなことを言えよ、梨花。


『…竜也が許さねぇだろ…』



『分かんないじゃぁん!』


梨花は俺の手を離し、勢いよく駆け出した。