でもその話は俺の気持ちを無視して許可なく俺の中に入ってくる。
俺は梨花から視線をずらし、前を見た。


『見てみたいなぁ~。どんな子なんだろ?』


『さぁね?』


俺は梨花に素っ気ない返事をして歩き出した。
すると梨花は俺の手を握り、寄り添ってきた。

…あまりくっつかないでよ…
これ、俺の本音。
朝から寄り添っていられると、嫌になる。
でも俺はこんなことは言えないから、梨花の手を握り、学校を目指した。

俺もいけないところはあると思う。
女に期待させるような行動をする俺も悪い。
だけど、断れない。
だって、断ったりなんかすると、悲しむだろ?
女がさ。


俺と梨花はこのままの状態で、校舎の中へと入っていった。


もうすぐ梅雨の時期なのか、校舎の中はじめじめとした空気が漂っていた。


『あ!そうじゃん!』


いきなり梨花がなにかを思いついたような口調で言ってきた。