昨日の雨で出来た水たまりが、太陽を映し出している。
その水たまりを覗くと、この空のような空があった。
あべこべな世界。

俺は水たまりを踏みつけて、鼻で笑った。


『怜!』


すると後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
この声は…梨花だ。

俺はうんざりした顔を浮かべるが、すぐに切り替えをする。

後ろを振り返り、偽物の笑顔を向けた。


『おはよ、梨花』



『おはよー!風邪大丈夫?』


梨花は乱れた髪を直しながら、俺に言ってきた。
そうだった。
昨日風邪引いたと嘘をついて梨花の誘いを断ったんだっけ。

雨に打たれて、風邪引きそうだったけど、朝起きたら風邪は引いていなかった。
ちょっと残念な気分。


『うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがと』

『良かった!そういえば竜也に彼女出来たんだってね!』



朝からまたその話?
聞きたくないよ、もう…