思ったより、刺激が強かったかな?

お坊ちゃんの眼が泳いでいる。

「…お前、夏休みの間しか、いないんだよな?」

「ええ。高校生ですから」

「ずっとは…いられないのか?」

まあ高校卒業して、就職先をココにすれば可能だけど…。

「ずっとはムリですね。今年の夏だけなら、いられますが…」

「ダメだっ!」

「えっ…いや、ダメだと申されましても…」

「お金ならいくらでも払う! だからお前はボクの側にずっといろっ!」

そう言って、お坊ちゃんはアタシをぎゅっと抱き締めた。

…可愛いなぁ。

こんなふうに一生懸命な彼の姿を、ずっと側で見続けたいとも思う。

できるんだろうか? アタシに。

きっと彼はすぐに成長する。

そうすればアタシなんか必要じゃなくなるだろう。

だけど『その時』までは、側にいても良いかもしれない。

彼の成長を、見続けるのも楽しそうだ。

「…分かりました。お坊ちゃん」

「えっ…?」

涙でうるんだ彼の頬を優しく撫で、アタシは微笑んだ。

「学校へ通いながらになりますが、お坊ちゃんが飽きるまでお側にいますよ」

「ほっ本当か?」

「ええ。アタシはお坊ちゃんに嘘はつきません」