お坊ちゃんはイスに座ると、物凄いスピードで宿題をこなし始めた。

やればできるのに…。

元々顔だけではなく、頭の方もトップレベル。

ただヤル気にならないので、夏休みがはじまって二週間も経つのに何にも手付かずだったのだ。

ここの執事さんが言うには、毎年やらず、家庭教師にやらせていたらしい。

しかし成績は変わらず良いという。

…変なお坊ちゃんだ。

呆れながらも、感心しながら見ていると、約二時間で宿題終了。

「どっどうだ! 全部できたぞ!」

げっそりした顔で、それでも自慢げに語りかけてくるお坊ちゃんに、アタシは頭を下げた。

「おみそれしました。お坊ちゃん」

「ははっ…!」

アタシはスタスタと近寄り、宿題を確認した。

一応眼を通しておかなければ、本当にやったかどうか怪しいものだから。