[陽菜ver,]


「…ぎゃっ!!」

「なんだその声は」

「いや…」



目の前には、成弥の顔がドアップで…

顔にはひんやり…


ん?

ひんやり?



「肩借りたからな、その分のお返しだ」

「…ありがとっ!!」



私は、顔に当てられていた冷たい物を受け取った。


げ…コーヒー!?



「あ、間違えた。
お前はこっち」

「へ?」



ひょいと、手にあったコーヒーの缶を奪われた。

代わりに渡されたのは、あのミルクティーだった。


…好きって言ったの、覚えててくれたの?



「ありがとっ!!」

「いーえ」

「それじゃあ、いただきますっ」

「どーぞ」



乾いていた喉に、ミルクティーが潤いを与えてくれた。

眠かった頭も冴え…



「おいし~♪」

「それは良かったな」

「飲む?」

「遠慮します。
それ甘すぎだろ」

「甘いのがおいしいのにー…」



隣では、コーヒーを飲む成弥がいた。

さっきの切なそうな表情は見当たらなくて、いつもの成弥に戻っていた。


良かった!

そう思っていいか分からないけど、気付いたら、私も笑顔だった。



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