「自分と好きな奴、か…」



何聞いてんだか…

陽菜、困ってたし…


もう…

無理やり陽菜を奪いてぇよ。


神崎なんか知らねぇ。


傷付けられそうになっても、俺が守るから。

…なんて、俺はヒーローじゃねぇし、不可能って言葉もある。



なにより…

陽菜の気持ちが大事だよな?


陽菜の好きな奴って、誰なんだ?

陽菜を笑わせられるのは、誰なんだ?


…俺じゃ、だめなのか…?


心の中で、隣の寝顔に問い掛けた。


俺は…

陽菜を笑わせられねぇのか?




お前を心ごと奪いてぇよ…



…なんて、俺はこの立場で言えるわけがない、か。


表面上だけでも、俺は神崎と付き合ってるんだからな。

神崎が陽菜だったらいいのにな?


こんなに近くにいるのに…

優しくもできねぇなんて…

こんな苦しみ初めてなんだ。




だからさ…

いつか必ず気持ち伝えるから…

それまで、誰のものにもならないでくれよ…な?



人を好きになるって…

簡単じゃねぇなと思った。



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