[成弥ver,]



「きゃ!?」



俺が手を引っ張ると、気を抜いていた陽菜は、バランスを崩して倒れて来た。


…っと、危ねぇ。


陽菜は俺の胸にぶつかり、倒れずに済んだ。


なにしてんだ、俺は…



「もーっ!!
何で引っ張るの!?」

「あ、いや…何となく?」

「…手、離してよっ!!」



なんだ?

陽菜、顔赤くないか?

具合悪く…


そんなことを考えていたら、陽菜は俺の手を無理やり振りほどいた。



「誰か見てたらどうするの!?」



窓から差し込む夕日のせいなのか…?


怒りながら言う陽菜の顔は、赤く染まっていた。



「それ、俺のために言ってんの?」

「ち、違うよ!!
こんなとこ見られて、変な噂でも流れたら、お互い迷惑でしょ!?」

「ふーん」



こんなとこ見られねぇよ。

今は部活中だし、部活やってない奴はとっくに帰ってる。


むしろ…

この光景を見て、噂を流してもらいてぇくらいだ。

でも、やっぱり、陽菜は迷惑なんだよな…



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