成弥が戻ると、忙しく走り回っていた役員達が、安心した顔をした。



「会長、あれほど呼んだのに…
何してたんですか?」

「何って、愛のある…」

「してませんからっ!!」



何を言い出すんだ、この変態会長は…!!



「聞かなくても、見れば分かるだろ?」

「…え?
…あ、すみませんっ」



へ?

へ?

えぇ!?


“すみません”の意味が分からないよ!?


会長に質問してきた人は、私を見て顔を赤くさせた。



「ま、そうゆうことだから♪」

「違うー!!
絶対誤解されてる!!」

「挨拶他の奴に回しといて」

「はいっ!!」



え…

なにこの会長…


一気にだらけてるよね…?



「成弥!」

「ん?」

「ちゃんと仕事しないと、みんな困るでしょ!!」

「あー…良いんじゃねぇ?
俺が困らないようサポートするのが、役員なんだから」

「……………」



信じられない…



「やっぱりさっきの取り消し!!
手も離してよっ」



さっきからジワジワと視線が痛いんだから…っ



「そう簡単に離さねぇって」

「じゃあ、ちゃんと仕事やってね!!」

「どうだかな?」

「離してぇー!!」



成弥はあっさりと繋いだ手を離した。

私は自分のクラスのところへ戻り、おかげで周りから質問攻めにあった。


けっきょく…

成弥はあのあと、ちゃんと挨拶もした。



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