『私、2階の雑貨屋いるから』

「あっ、うん!分かった!」



栞との電話を切って、歩き出した。


目指すは2階の雑貨…あ…


雑貨屋なんてたくさんあるじゃん!!

名前言ってくれなきゃ分からないよ、栞のバカ!!


2階についたら電話しよー…



あれ?


歩いていた私の目の先に…

小さな花屋があった。



なんか、かわいい…

メルヘンチックだぁ…



花屋に目を奪われ、自然と足が花屋に向いた。





「こんにちは」

「へ?
えっと…こんにちは…っ」



店先に飾られていた花々を見ていると、隣から声をかけられた。


かっこいい、笑顔のお兄さんだ…

明るい色の髪が、カラフルな花々と笑顔に合っている。



「その花、かわいいでしょ?」

「はいっ!!」

「それに負けないで、君もかわいいね♪」

「っ!!」



笑顔のお兄さんは、私の反応を見て、さらに笑う。


…か、からかわれてる…っ



「何か好きな花とかある?
あ、思い出の花とか…♪」



“思い出の花”

ふと、頭に浮かんだのは…

忘れもしない…

大切な人からもらった花…


いや、正しくは一輪の造花なんだけど。


今でも部屋に飾ってある。



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