｢浴衣、たくさんあるね～｣

｢ほんとだ!
どれもかわいい♪｣

｢こんなにあると迷うなぁ｣



二人で浴衣を見ていると、女性の店員さんが来た。


き…綺麗な人っ



｢何かお探しでしょうか？｣

｢あ、えっと…｣

｢この子に似合う浴衣探してるんです♪｣

｢えっ、栞!?｣



栞を見ると、“私はいいから”と言う顔をされてしまった。

そのまま、栞は私を置いてどこかへ行ってしまい…



｢どのような浴衣が…｣

｢あ、の…っ｣



栞がいないのを確認して、赤面しながらも、店員さんに伝えた。



｢ふふっ
デートですか？｣

｢い、いえっ…
でも…大事な日なんです｣

｢あら、頑張ってくださいね!
浴衣は女らしさを充分に引き出してくれるはずです。
きっと、想いは届きますよ？｣



にこっと微笑まられ、私はドキッとした。


美人で素敵な人だなぁ…



｢こちらの浴衣なんてどうですか？｣

｢あ…かわいい｣



店員さんが持って来てくれたのは、陰の方にあった浴衣だった。


さっきは気付かなかった…


落ち着いた紺色に綺麗な蝶が描かれている。

かわいいし、女性らしさが出ている浴衣だ。



｢これにしますっ｣

｢ありがとうございます。
頑張ってくださいね？｣

｢はい!
ありがとうございました!｣



私に似合うか分からない…

でも、直感でこの浴衣に選んだ。


私は浴衣の入った袋を大事に持って、栞を探した。



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