「バートリィ………」

私は横山さんが言ったお店の名前を小さく呟いた。

「それってエリザベート・バートリィの事?」

「うわぁ!!!!!!!!」

次は娘が後ろに立っていた。

確かに今私がいる場所はリビングで玄関が開く音が分からないけど…
ただいまぐらい言ったらどうなのかしら?!

言いたい事は山の様にあったが、それよりも気になったのが…

「絵梨、エリザベート・バートリィって何?」

確かにバートリィと言ったがそんなアメリカの女優みたいな名前は言っていない。

「違うの?
ハンガリーの貴族の…
連続殺人者の人よ。」

リビングのソファーに座りながら絵梨は言った。

制服がシワになるわよ…

「ねぇ、絵梨。
その人の話詳しく聞かせて?」

「ん?
えっとー…確か16〜17世紀。
当時トランシルヴァニア公国の最も有力な家門の娘よ。
バートリ・エリザベートとも呼ばれてるの。
吸血鬼のモデルにもなった人よ。
血の伯爵夫人とも呼ばれてた。

オルマン帝国と戦争中、旦那さんがよく留守にしていてね?
その間に性別問わずの愛人が沢山いたの。
贅沢の限りを尽くす事と…自分の美貌を保つ事に執着してたらしいよ。
それでも夫婦仲はバッチリだったみたいだけどね。