アサトの声は、緊張が張り詰めて小さかった。 「……?」 手をギュッと握りしめられた。 そりゃそうだろう。半ば家出して、そして実家に帰ってきたんだ。 尋常じゃない緊張があって当たり前だ。 私は震えるその手を握り返す。 「アサト……」 しばらくして、恰幅のいい白髪のおじさんが家の奥から出てきた。