「いえ、道中が楽しくなりますから……」
母に厳重に注意を受け、私とアサトは玄関のドアを開けた。
――本当に何もないところだった。
私の家からはバスで数分だと聞いていたが、まさか都市化が進んでいる町に住む私は驚いた。
バスから数分離れただけでこうも風景が変わるのかと。
高原な田畑の園が私達を出迎えてくれた。
「ほら、何もないところだろ?」
ひょいと自分の旅行鞄を持ち上げ歩き出すアサトの後を、キャリーケースを引いて追う。
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