「心和、手出して。」

 「何?」

 「いいから。」

抱きしめる彼方の力が緩む。
解放されたわたしと、彼方の間
に少しだけ隙間が出来る。

彼方はわたしの手を取って、
ポケットから取り出した小さい
箱をわたしの手に乗せた。

 「開けてごらん。」

箱の中には、小さな小さな
リングがひとつペンダントチェ
ーンと一緒に入っている。

 「正式なマリッジリングは
卒業してから、プレゼントするよ。
そのリングベビーリングって
言うんだけど、そのリングなら
ペンダントとして使用できるだろう。」

 「ありがとう♥」

 「気にいってくれた?一応心和の
誕生石なんだけど。」

彼方が照れくさそうにほほえんだ。

学園では、俺様で、生徒会長で
凛としててそんな彼方がどんな
顔してショップで買ってくれたん
だろうって思うと涙出そうだよ。

 「うれしいよ~。ほんとうに
ありがとう。」


彼方の笑顔がパッと明るくなった。

キラキラ輝く彼方の笑顔にもう
胸がキュンって締め付けられて。

おでことおでこが触れ合う距離で
ふたりでほほ笑みあった。


とっても幸せで、わたし夢見てる
みたいだったよ。