パパの話しに適当に頷きなが
ら、今にも彼方の所に、飛んで
行きたかった。

わたしの・・・
わたし達のいない所で話しが
進んでいっているような気が
してちゃんと彼方と話したかっ
た。


 「今から、彼方君と結城
があいさつに・・・。」

パパが言いかけた時玄関のチャ
イムが『ピンポーン』となった。


ドキっ!!


 「こちらにどうぞ。」

ママの声がいつもより丁寧で、
リビングのドアが開いて・・・。

わたしは、その場に固まった。


だって、目の前にはいつもの彼方
じゃなくて、スーツをピシッと
着こなして、紳士的な大人の彼方
がいたから・・・。

 「心和。まだ着替えてなかったん
だな。」


 「だっだって、帰ったらパパに
話しがあるって言われて。」


 「ビックリさせたよな。ごめんな。」

彼方は、優しくほほ笑んで
彼方の手がわたしの頭を撫でる。