屋上に注ぐ風は心地よくて。

わたしの髪が風に揺れる。

 「彼方、全て副会長から、
聞いたよ。」

わたしは、向かい合う彼方に
訴えた。

真剣なまなざしで、彼方を
見つめて。

今度は、目をそらすことなく
わたしを見てくれてる。

こんな風に彼方に見つめられる
のが、懐かしいなんて。

あんなに、当たり前の事だった
事がこんなに愛しい時間に変わ
っていく。

わたしは、切なさで胸が締め付
けられた。

今にも、彼方の胸に飛び込みた
かったんだ。

 「遅かったようだけどね。」

彼方が口を開いた。