「最初は、最初は脅されて
仕方なくだった。でも、和哉の
想いを知って、わたしの気持ちは
暖かくなったの。このまま、和哉
と付き合っていけたらって思ってた。
でも、そんな時、わたしが妊娠
してしまって。怖くて不安で
たまらなかった。」
「カンナから、妊娠の事を
打ち明けられた時は、目の前
が真っ暗になったよ。手放しで
喜んであげられなかった。
しばらく、考えさせてほしいって
言ったんだ。」
俺もそうだった。
カンナの子が俺の子と聞いた時
目の前が真っ暗になった。
俺は和哉を覚められない。
「その言葉で、カンナを深く
傷つけている事も気付かなかった。
俺は、親になる覚悟を決めて、
学校も辞めて仕事を見つけて
来たんだ。カンナをビックリさ
せたくて。 でも、昨日生徒会長
と一緒にいるカンナにはビックリ
したよ。」
「そうだったのか。だから昨日。」
こいつは、正直わからないって
答えたんだ。
「わたし、不安だったの。和哉に
捨てられたって勝手に思い込んで、
それで余計に幸せそうにしてる、
結城君達が憎かった。
だから、わたしはあなたを利用したの。
あなたは、絶対見捨てない。そう
分かっていたから。」
「だから、俺の子って言ったのか。」
「ごめんなさい。」
「ふざけるな!!!そのせいで
俺は、俺たちは、どんなに苦しんだ
と思ってるんだ。」
どんなに深く心和を傷つけたと・・・。
「許してくれ。」
「本当に俺の子じゃないんだな。」
「あぁ。俺の子だ。」
「許してやるよ。その代わりカンナ
達を幸せにしろよ。」
俺は、その場を走り出したんだ。
早くこの事実を心和に伝えたくて。
でも、君はいなかった。