その日俺たちは、お腹の子の
検診日だったんだ。
病院で見せられた、お腹の中
の小さな生命に感動してた。
カンナのお腹の中にいる、
生命。
俺の子ども。
やっと少しづつ、理解できて
きた。
そんな時だった。
カンナを送り届けた、玄関口、
あいつを見かけたんだ。
俺は、拳を握りしめた。
なんの関係もないはずのあいつ
が、俺らの前に現れないはずの
あいつが、そこに平然といたんだ。
「よっ。」
その言葉は俺ではなく、
俺の横のカンナに投げられた言葉
だった。
俺は、意味がわからなかった。
ただただ、横で顔色を変えて、
立ちすくむカンナがやけに印象
に残ったんだ。
ありえない結末がそこにはあったんだ。