「とりあえず、これでわたし
とは別れられないでしょう。
疑ってるなら、病院だって一緒
に行くわ。」
「カンナ。」
「あっそうそう。これからは
お腹の子とふたり守ってもらわ
ないといけないから、あなたに
いつも張り付いてるあの幼なじみ
どうにかしてくださいね。
あの子より、この子の方が大事
なはずよね。」
凶器のように鋭い目で釘をさす
カンナが怖かった。
「時間をくれないか。俺も
突然の事で。」
「いつまで。いつまで待って
あげたら、あの子と切れてくれるの。」
「分からない。でも俺がちゃんと
するから。」
「わかったわ。任せるわ。
・・・・・彼方。」
カンナに彼方と呼ばれるのは
初めてで、俺の中で、俺を
彼方って呼ぶのは心和だけだと
思ってた。
正直、ムカつきが治まらなかった。