「あら、まだ名前で呼んで
くれるのね。もうわたしの名前
なんて忘れていたと思ってたわ。」

 「どうしたんだ。お前らしく
ないだろう。」

俺は、カンナの体を揺さぶった。

 「やめて。激しく揺らさないで。
わたしのお腹には赤ちゃんがいる
のよ。」

カンナの言葉に俺は、呆然とな
るしかなかったんだ。

 「産んでもいいわよね。わたし
産むわよ。 後数カ月もしたら
卒業だし、そしたら結婚してこの
子をふたりで育てましょう。」

カンナが愛おしそうにお腹を
撫でる。

 「嘘だろ・・・。」

男として最悪の言葉だ。