想いを伝えられただけでも、
お互いを想っていた事に気づけ
ただけでも、この結婚には意味
があったと思うよ。


もう二度と彼方に触れる事が
出来なくても。

幼なじみのままでは、一生叶う
ことのなかった時間を過ごせた
んだから。


わたしは、一枚の紙にサインする。


祝福に満たされていたあの日とは
ちがって、涙で文字が滲んでしま
う。

でも、これがわたしが彼方にして
あげられる唯一の事だから。


パパの手からそれはお義父さん
の手に渡った。

わたし、光田心和に戻ります。