その後何日か、近所の人の家に預けられた。
きっと、いろいろとやらなければいけない手続きなどあったのだろう。

数日後、家に帰ると、何か違う感じがした。
いつもいる父がいない代わりに、部屋には遺影や位牌があり、お線香の匂いが充満していた。
何か大きな存在が、ドンと消えてしまったような感じだった。

血の海だった台所も、気がつけば、きれいに片づけられていた。



そして、母に告げられた。

「お父さんはね、もう帰ってこないんだよ。
今日からは、お母さんと2人だからね」



≪お母さんと2人だからね≫
これが、これから始まる悪夢のような日々のスタートになろうとは、誰が思っただろう。