2004・7月

『え?今日会うの?』

ナホはお茶を手にして言った。

『そうなんだよ-
しかも、一緒に住もうとか付き合おうとかありえないよね?』

学校の屋上。
空は青くてたまに吹く風が気持ちィィ。
地面に座り込む2人とそれぞれに缶コーヒー。
片手には携帯とタバコ。



『ん-ィィんじゃない?
つか、コウくん、影響されやすい人だから』


ナホはそれだけを言って口を閉ざした。

こうなると、ナホには何を聞いても答えなくなる。
まだ、よくわからない。


ついでに言うと
この高校は通信。

日曜しか授業をしてない。


だから、ナホに会うのは月に2~3回。
入学式に会って仲良くなったヶド、まだ学校の外で遊んだりとかはない。


もう出会って1年経つヶド、まだわかんない。

知ってる事と言えば

小柄で可愛くて。

コウのお兄ちゃんと同棲してて

あたしと同じで公立高校を中退して、この高校に入った。

今、17歳。高校2年。

そして
妊娠3ヶ月。


もうすぐ、休学する予定。




そんなナホが好きだったヶド、眩しすぎてちょっと息が苦しい。



あたしが憧れるものを全て手にしていたから。

優しい旦那とお腹の中の子供。

全て幸せそうに見えた。




逆に、あたし。

今から会う“彼氏”にもやもやして。
時間を確認するたび逃げ出したくなる。



『ぁあ-緊張する…』


照り付ける太陽の下でうなだれる。
そんなあたしをナホは置いて言った。



『まぁ、頑張りなよ。あたし帰るから-』



去り際までクールなんだから…

ナホの後ろ姿を見送って、タバコに火をつけた。



♪~♪~♪~♪~♪


受信…コウ





《着いたよ》